財政状況悪化の影響もあり、高齢者や障害者の就労促進が重要視されています。しかし、単に財政上の改善対策という捉え方でなく、働くことで社会的存在が明確化されるということは真にノーマリゼーションであると考えることができる。障害者は社会で働けないのでなく、認知の特異性による未学習であることが多い。本書は社会に出るために必要な知識や先進的な支援機関の取り組みが詳細に記載されており障害者を持つ親御さんや支援機関で働く方は非常に参考になると推察する。障害者の就労支援に関する本は少なく、特に福祉関係の書籍はエンパワーメントやストレングスといった視点に欠けている中、本書は積極的な視点に立っていると感じる。精神障害者のためとなっているが、職業準備性という観点では紛れもなく「人」として社会に出るための必要な準備であり、全ての障害、学卒者に有効であると考える。