BOOK2になって物語のテンポが良くなり、がぜん面白くなりました。
BOOK1はBOOK2以降の伏線として重要ですが単調で長く感じたので、なおさらBOOK2の目まぐるしい展開に引き込まれてしまいます。
<<注意>> 毎度のネタバレです。
青豆はいよいよ強大な宗教カルト集団となった「さきがけ」のリーダーを暗殺することになる。意外なことにリーダーは死を望んでおり、青豆が暗殺に来たことを予知している。さらに、天吾が今でも青豆のことを忘れられないでいることを明かす。小学校5年の時以来会っていない天吾のことを愛し続けている青豆にとって、あまりにも意外なことである。このリーダーは何者?
青豆は天吾のためにリーダーを殺害する。その後、老婦人と優秀なボディーガード(タマル)の周到な計画により一時的に高円寺のマンションに身を隠す。リーダーの死亡は世の中に公表されず、教団内で処理され全力を上げての青豆捜索が行われる。
一方、天吾の身の回りでは年上のガールフレンドが姿を消し、「空気さなぎ」リライト発案者の腕利き編集者の小松との連絡も途絶えがちになる。「空気さなぎ」の作者ふかえりは受賞後失踪して、天吾のアパートに暫く同居することになる。
天吾にも空に月が2つ見えるようになり、何年も会っていない父親を訪ねる。千葉の千倉にある療養所で父親の痴呆状態はかなり進んでいた。そこで父親を見舞い、父親が検診でベットを離れた後、天吾はそのベットの上に「空気さなぎ」を見る。まさに自分が小説「空気さなぎ」で書いたそのものである。その中にはまだ10歳の青豆がいて天吾は呼び掛けてそっと手を握る。程なくして空気さなぎは消え去る。
再び青豆。月が2つに見える1Q84年のきっかけになった首都高三号線の池尻出口に向かい、そこにあったはずの非常口を探すが見つからない。もう1984年への出口は閉ざされたと言うことかもしれない。そこで、青豆はタマルから受取った拳銃を自分の口の中にくわえる。渋滞の車の人々の視線を受けながら、そっと引き金を引く指に力を入れるところでBOOK2は終わる。
ここまで来ると即座にBOOK3に突入しないわけに行きません。青豆は結局自殺したの?さもなければ2人はどこかで会うことができるの?ふかえりのその後は?