何事も適当で記憶力のない私は下巻を読んでいるうちに上巻の内容がうやむやになってくるのですが、この本は、同じ内容を繰り返し語りかけてきてくれるので、今読んでいることがこの人の言いたいことなのだろうと納得して読んでいけます。
上巻でおぼろげだった理論が、だんだんと具体的になってくる印象です。下巻に入ってから、話題も外堀から始まっていますが、前半のうちに一度中心まで結論を組み立て、再び演繹するような流れに見えます。
著者の考え方の一つは人間を含めた動物や植物、病原菌の運命の違いが大陸の形によって決められているような内容だったと思います。これも面白い考え方だと思います。
繰り返し語られているのは、時代の勝者、征服者が単純に遺伝的に優れているとか,人種的に特別な能力を持っているから、と言う理由ではなく、地理的偶然が必然を作り出した、と言う主張です。環境論というのでしょうか。
大陸から、太平洋の話になり、最後はアフリカ大陸の話になり、何度目かのまとめをしてくれます。しつこいと思う人もいるのかもしれませんが。
最後は、この本が学問としてどういう立場なのか、と言う考察で締めくくりです。