私が介護保険施設の管理者ということ含みおいて読んでいただければ幸いです。
介護保険下での介護サービスは複雑で難しい法解釈をもって展開することを、事業者責任として行わなければなりません。よって事業者それぞれがきちんと法律を読み込み、理解し、根拠をもってサービスを行わなければならず、そこに籍をおく専門職としてもまた、法解釈の努力をしなければならないことも承知しています。自分の国家資格、仕事に関連する法律くらい読んでくれよというのが正直なところで、筆者と似た立場である私はとても共感できる内容です。しかし現実は、管理者責任として毎日一生懸命法律を読み込み、他の職員に説明できる状態にすることが精一杯であるのが正直なところです。
また、「傍らにいることが許される者」として法律遂行よりもさらに上の概念で心から対象者を愛す努力を専門職として行わなければならない点についてもとても共感できます。筆者はブログで我々は本当の家族にはなれないけれどと少し一線を引かれる立場ですが、私は夫婦であっても最初は他人であるなら、最初は利用者と介護職員であっても本当に利用者を愛せるなら家族以上の関係になれるのではと思っています。しかし現実は、介護職員にとって施設はあくまで「職場」であり、利用者や自分が共に暮らす「家」となりきれていない現実があります。その意識改革に取り組んで5年経ちますが、まだ道半ばです。その意味において、筆者の想いはとてもよく理解でき、私の目指すものと一致しているように感じるのですが、多くの人は「理想論」で片付けられてしまう危険性があります。読み手の謙虚に受け止める姿勢が求めらる、ある意味人を選ぶ著書です。そういう意味で星3にしました。私にとっては星5です。