実に面白かった!読み始めたら止まらず、読み終えるのが寂しかったくらいです。
又吉氏自身のラインナップによる47の文学作品が取り上げられていますが、
初出は、お笑いのライブ会場に置かれるフリーペーパーへの掲載ということで、
「学生に読んで欲しい」「本を好きになって欲しい」ラインナップだとか。
読書の習慣のない人にとっつきやすい作品も取り上げたと言いながらも、
カフカやカミュも入っているあたり、やはり本格的だなあと。
その他、書き下ろしも9篇ありました。
それぞれの作品をキーワードとした彼自身の随想が綴られています。
「小説より奇なり」なエピソードもたくさんありました。
ということで、あくまでも「書評」ではなく、又吉氏のエッセイ集という感じですね。
その、一つ一つの作品との関連付け方の妙味たるや、惹き込まれてしまいました。
又吉氏がどのような人物なのかということがかなり浮き彫りにされていて、
元々彼の大ファンでしたが、益々大好きになってしまいました。
洞察力が鋭く感受性が豊かで、そして文章力も秀逸なのではないでしょうか。
私が読んだことのある作品は、恥ずかしながら僅か5作品でしたが、
この作品にこの随想!?と、その斬新ながらも的を射ている感じがたまりませんでした。
未だ知らぬ作品に関しては、どれもすぐに読みたくなってしまいました。
作品ごとの冒頭で、その作品が収録されている本自体の表紙画像と、
出版社や価格まで記載されているのが大変親切です。
巻末には芥川賞作家・中村文則氏との対談が収録されており、こちらも内容が濃いです。
中村氏が、文学的な観点で「ピース」のネタを語る下りなど実に興味深く面白かった。
とにかく大満足。心に残る1冊でした。繰返し読む本になりそうです。