戦時中の知識階級=戦争反対で軍部に批判的な人ばかり、というイメージでしたが、
さにあらず。本書には新鮮な驚きが満ちていました。
例えば、有名な英文学者である伊藤整が日米開戦に快哉を叫んだり、
高村光太郎はアングロサクソン憎悪に満ちた詩を作っていたり。
日記にしか書けない作家たちの本音が垣間見え、戦争がリアルに感じられました。
キーン氏本人もアメリカ海軍の将校として戦争を体験し、
本書に登場する作家の何人かとは実際に交流があったことが重みを増しています。
巻末の平野啓一郎氏との対談もとても興味深かったです。