まず最初に言っておきます。
第1巻の段階でこの表紙は、ぶっちゃけサギです。
魔法のステッキの誤作動か、変身するのはガチムチのボディビルダー高田厚志(35歳、男!)でして、ここまで読んだら魔法少女とは名ばかりの、力任せに敵を叩きのめす漫画かと思うかも知れませんがさに非ず。この人は年齢と鍛錬、実戦経験を積み重ねて円熟した、漫画やライトノベルに出てくる武術家の師匠のステレオタイプみたいな人格者で、魔法少女(?)になったのも本来魔法少女になるはずの女の子が小学生だと聞いて、「子供を戦わせるわけにはいかない」という、空気さえ読まなければまっとうな動機によるものなんです。
ですから敵である魔族との戦いも、肉体を駆使したド迫力のポージングと、周囲に魔力を放射、浸透させて全員を自身の動きに同調させ、無理矢理ダンスを踊らせて戦意を喪失させるという、何とも平和的なやり方なんですね。
それでも「拳など軽々しく振るいはせん」──言い換えれば「いざとなれば拳を振るうことも辞さない」ということ──と魔王の威圧、挑発に対して一歩も動じず言ってのけ、友好関係まで持っていく胆力を持つ一方、バトルマニアの魔族の挑発でいよいよガチンコの戦いとなったら容赦なく攻め立てて来ますから、もう色々な意味でこれまでにない魔法少女物の漫画と言えるでしょう。
複数の味の組み合わせが魅力の漫画なので、今後もバランスを維持できるかが気になりますが、変身したプリティ☆ベルの絵に拒絶反応さえ起こさなければ一読することをお勧めします。