仏版に関しては2008年頃から制作中との噂を仏本専門店で聞いていましたが、とうとう翻訳も上梓されました。『リサとガスパールのデザートブック』の第二弾は、子供でもできる初歩的なお料理集です。「ガスパールのクロック」「デルフィーヌおばさんのミートボール」「ビクトリアのキッシュ」「リサのブルスケッタ」などと登場人物の名が織り込まれて楽しいです……が、人物と料理の結びつきに必然性はありませんでした。この辺の方法論はひょっとすると『レミーのおいしいレストラン』のお料理本に倣ったのかも? 折角なのでデルフィーヌおばさんやビクトリア姉ちゃんには絵だけでも出演して欲しかったところです。
ゲオルク・ハレンスレーベンによる大判の絵は色彩がいっそう豊かで清々しいです。このところ画風が少し変わってきて、二人はどんどん幼く、また太って見えるようになりました。巨匠も今や三児の父、そういうお年頃なのでしょうか。
リサとガスパールの使っている調理器具がとてもカラフルで羨ましいです。キッチンのインテリアも洗練されていて、絵本というよりフランスのライフスタイル誌油絵版と読めるかも知れません。
なお、翻訳者山本は料理家で、原典と照らし合わせても適切な翻訳ができていると思います。それでも不安な方は原典をお求め下さい。