読み始めたばかりの時から読み終わるまで、「もっともっと読みたい」という言葉が何度も頭の中に浮かんできました。文字の大きさが半分になって、文章が2段になって、本の厚さが2倍にも3倍にもなればいいって思いながら読んでいました。そして登場人物の容子にもっと翻弄されたい、智也には宇宙の話、科学の話、そして人間を裁く神じゃなくすべてを認める神の話をもっともっと聞きたいと思いました。
ストーリー展開にはぶっ飛びました!複数の場所で別々の事件が同時進行していて、場面が切り替わる度に前の場面のその後が気になって仕方なかったですが、何度も場面は変わりながら複数の事件はどんどん近づいていって、遂には一つになるのが何とも面白かったです。それから小説を読むときはいつも、先の展開がどうなるか何となく見えてくることがあるのですが、「神のなせる技なり」は全然わからなかったです。でもそれは当たり前なんだと思いました。本の帯には「仮説小説!」と書かれています。今まで誰も考えなかったことが小説の中で展開していると思いました。私たちが常識とか当たり前とかで片付けて考えてこなかった事を、どうしたって考えざるを得なくなるのがこの小説だって感じました。
読んでいる間の自分のことを思い出すと可笑しいです。笑ったと思ったら目がうるうるして、また笑って、自分の価値観や常識と戦って、ちょっと興奮して(汗)、科学は難しいんだけど分かりたくて考えて、頭の中は宇宙や四次元のイメージでいっぱいになって、最後はうるうるで終わって…とても忙しかったです(笑)。登場人物は容子と智也はもちろんだけど、他の人もみんな好きになりました。うまく言えないけど、みんな思い切り生きてました!