西尾維新。阿良々木の妹火憐と月火(通り名「栂の木2中のファイアーシスターズ」)に降りかかったそれぞれのエピソードを上下巻で描く。文中で言われるとこのギャグパート(言葉遊び)てんこ盛りの序盤に若干間延びを感じるも、ひたぎ・八九寺ばりの切替えで、いったん本筋に入ると迷いなく結末へ突き進むスピード感は本領発揮てところで序盤の間延びすら意味あるものだと感じてしまうから不思議なものである。 ‥本作上巻では「火憐と貝木」下巻で「影縫と阿良々木」各々の「正義」を通して、ひとの行動・行為の規範となる、それぞれの立ち位置における「社会と自己」の対立が描かれる。またこれは個人の問題として置き換えられることもあり、正面から向き合ってく阿良々木の姿勢に「阿良々木暦」としての自我をはっきりとらえることができ、そこに何とも云えない清々しさ感じる。また本作では久々に忍(キスショット)と阿良々木との絡みがみられ、そのポジティブに生きる姿から不遇を昇華し自らとの和解を果たした忍から悲哀が消えてたのも印象的だった。