かつてナマズの宮様と言われ、今は日本動物園水族館協会総裁などをお勤めになられる秋篠宮殿下と、現職上野動物園園長による動物図鑑。馬、牛、鶏(宮様の本領発揮か頁数が多い)など、大きく七分類。美しく豊富な写真と簡潔で的確な説明文で素人にも分かりやすい。
鹿毛の写真に皇居とキャプションがついていれば「殿下が撮られた?」とわくわくし、山古志の闘牛の写真を見れば「今上陛下が復興のご視察の折に撮られたものでは…」と想像を逞しくする。そんな楽しみ方もいいだろう。
家畜は人間の生活により変化(開発・絶滅)していく。「それらを残し継承していくのは、遺伝資源としての家畜品種の保全と共に、それらが成立するに至った文化の保存にもつながるだろう」というまえがきを読みながら、2008年4月に両陛下が果樹の古来品種を保存すべく皇居東御苑に植樹なされたというニュースを思い出した。写真を見るだけでも単純に楽しめるが、動物好きの宮様が日本の伝統や文化を残すようなお仕事をされていることに思いをいたすと、嬉しくなり、また頭の下がる一冊である。