レビューを見て、ほんとはどうなんだろう、と思って買ったけれど、実際読んでみたら「何がいいたいかわからない」という人が逆にわからなかった。
雀鬼は、こうしろというような書き方はしない。読者に押し付けない。だから読み手は雀鬼の語る何気ない言葉や感想のなかから、必要な知恵を抜き出して自分の栄養としなければ、吸収できない。だから昔の職人が先輩からわざを盗むように読む本だ。お金を払って教えてもらおうとする塾通いのような受身の読書ではなく、自分から学ぶ、振り返る、修正するという積極的な読書の姿勢が必要になる。しかし基本として、自分自身を日頃ちゃんと曇りのない目で客観的に見ているのかどうかが分かれ道になるだろう。なにも学ぶものがなかったという人間は傲慢以外の何者でもない。この世は、なにからでもひとつは学べるものがあるからだ。人生を苦労し、人間を観察してきた人には、雀鬼の観察眼がするどく当たっていることにおどろいてしまう。体というのは、内面をあらわしてしまうものだということがわかった。