著者の西田さんは大学卒業後、村田製作所、ナナオを経てコンサルタントとして独立。製造業の収益改善専門のこん札ティング会社の代表取締役を務める。
本書はタイトルにあるように「収益」を改善(上げる)ための会議のためのツール類の整備や進め方を解説したものだ。
会議をするというだけでは、あまり新しさを感じない。工夫されているのは、各種ツール類に内容と「ネーミング」だ。
まさにネーミングは「妙」と言ってよく、本書のノウハウのポイントはここに凝縮されていると言ってよい。
企業には顧客からのさまざまな要求がある。ニーズという格好のいい単語でカバーされているケースの大半はわがままであり、企業の収益を圧迫しているケースも少なくない。
それを顧客の真正面で受け止めている、あるいはしわ寄せが来ている部署がそれら「理不尽」な顧客要求と実際に行われてる作業を『泣き寝入りリスト』にまとめ、それをもって「収益改善会議」を行うというのだ。
こういった現場の生の声を見える化し、関係者全員でわいわい、がやがやと議論を進めていき、問題点、課題をあぶり出し、解決策、実施責任者、期限を定める。
一旦問題点、課題が見つかれば解決への道は遠くはない(これは私の持論だが)。
何事もまずは「やってみる」ことが大切なのだ。「泣き寝入りリスト」は名前がもたらす効果もあるが、「何かやらねば」というモチベーションに繋がるでのはないかと思う。
歴史を積み重ねれば、「何でこんなことやってるの?』といった仕事が多くあるはずだ。それらを洗い出し、止められるものはないか、減らせるものはないか、方法を変えられるものはないか(この3つを私は業務改善の3原則と呼んでいる)、を考え、実行し収益を改善する。
言うなれば日本の企業が得意としてきたものだ。
100年に一度の経済危機のさなか、そういった原点に帰って業務を見直すことも必要だろう。
そんな気付きを得られる一冊である。