私自身帰国子女で、第三者的に日本という国を見られるからでしょうか。共感できる部分が多くありました。なぜ現代の日本は多くの人間にとって住みにくい国になってしまったのか。
著者は、日本がおかしくなった理由として日本の文化や教育の影響をあげています。日本人で生きる上で感じる怒り、悲しみ、やりきれなさが著者の怒りで詰まった、そして時折ユーモラスな文章に描かれています。タイトルは「犬はそのへんに沢山いて、本物らしく描くのは難しいけれど、鬼なら奇抜だから誰でも描ける」という中国の故事から名付けられたそうです。著者は、日本は今まで「鬼」ばかり描いてきたから、安易な道筋を選んできたから、その結果が現代社会であると述べています。私は著者は描くのが難しい「犬」をこの本の中で描いていると思います。