江戸時代に数学を学んでいた少女を描いた児童文学です。1973年に出版された単行本でしたが、ちくま学芸文庫という手堅いところから復刊されました。挿絵も単行本のそのままのものが使われています。
数学をクイズのように楽しみながら、ただの遊び以上に真剣に極めていくというのは、なかなか珍しくて新鮮な題材です。
歴史物の強みでしょうが、年月がたっても少しも古びた感じがありません。
和算についてのかなり詳しい記述もあるのに、数学史を知らなくても気にならずにすらすら読めました。むしろ、その具体的な記述が魅力です。
今になって読み返すと、有名な歴史上の人物や事実がそれとなくちりばめられていることがわかりました。
子どもの時に読んでも面白いし、大人になって読んでもまた面白く読めます。