望月花梨さんの特徴なのでしょうが、確かに胸にずきりとくるものがあります。
淡々とした絵、華美とか装飾とかいった言葉を一切省いたかのように流れるストーリー。でもなんだろうなあ、私はこの世代(学生時代)とても苦しんで苦しんで長い間夢でうなされ続け、現実でもかなり恐怖的に恐れていたので、読んでも胸にぐっとくるものがあっても、ああそうだったなあと懐かしくさえあり、たぶんこの作品を読んで辛い人はまだその年に近くて生々しく感じるのか、それともまだ苦しんでいる最中なのか、それともそこまで苦しんでないからこそ小さい苦しみがはっきり感じて苦しいのか、どちらかなのかなあ。
どちらにせよ、この鋭さを持った作家というのはそうそういないので、新作?(執筆活動が停止?)が出ないのはとても勿体無いことだと思います。
後期(たぶん本としては一番新しい)のせいか、結末は救いがありますので一冊の本としてもお薦めです。