福岡県久留米市で行われた共有自転車の試みをつづったドキュメント。
この手の試みは、全国各地で放置自転車対策として行われてきたが、いずれも失敗に終わっている。
このプロジェクトもその例に漏れないが、共有自転車の試みがなぜ失敗に終わるのか、その原因を知ることこそが大切だ。
共有自転車は、提供される自転車のクオリティの低さと共有物を大切にしないという人間の心理がある以上、絶対にうまくいかない。
それに、車に乗る人が自転車に乗り換えてこそ、初めて自転車が交通機関として初めて生かされる。
そのためにはスポーツバイクの普及とともに、自転車がまっとうに走れる交通インフラの整備が欠かせないのだ。
本書がそのことに気付くきっかけになるか、と言えば恐らくならない。
失敗例のケーススタディぐらいにしかならないだろう。