どんな人にも、昔があって、記憶に残る人・事柄がある。
だけど、記憶というものは曖昧なもので。
自分自身、例えば・・・20年以上前のクラスメートに突然会った時、名前が思い出せず困った事もあったり。
自分の記憶と、ここでの主人公・・・読み始めるにつれ、微妙に交差し始めました。
小説自体は、サスペンス・ホラー。
でも、私個人としては、「記憶」の方に恐怖を感じました。
あの人・・・この人・・・私の記憶と違ってはいないか。
人の中の記憶に残っている「私」は、私の中の「記憶」と違うのではないか。
あまり考えたことのない「記憶」について、一度考える事の必要性を感じさせる小説でした。