本書は、心理学に興味のある一般読者向けに書かれており、アドラーの人物像と彼の心理学の基礎理論・手法を概説する。
ただ、参考図書の多くが外国語で書かれているためか、解説文が翻訳的でくどくどしく、日本語としてこなれていないことが残念(原文には忠実なのだと思う)。
著者自身の手による解説文は普通なので、その調子で全編が書かれていれば、より理解し易かったと思う。
本書によると、これまで見聞きした多くは、精神分析家のフロイトやユング系の心理学。これらと一線を画し、アンチテーゼたるのが同時代の精神分析家「アドラー」の心理学のようだ。
アドラー心理学は、一般社会の規範や道徳では理解し難い考え方であるため、逆にその理論や手法は、私には新鮮に映った。
私的には、人生に行き詰まったり、従来の社会規範や道徳に息苦しさを感じたりした時、アドラー心理学は良き助けになると思えた。